最強の選択術とは?「ビジネスリーダーのための意思決定の教科書」著:川口 荘史 氏

スキル

人間はビジネスシーンを含めた日常生活の中で驚くほど多くの意思決定をしているといわれています。とある研究によると私たちは一日に最大で35,000回もの意思決定をしているそうです!

例えば「何を食べるか」「どのスーツを着るか」「どのお客様へアプローチするか」「どの道を通るか」など、意識的なものから無意識的な意思決定も数多く潜在しています。

本書では、そんな「意思決定力」を向上するための「つかみどころ」が紹介されています。そしてその「つかみどころ」を本書では「意思決定の構成要素」として位置づけ、それぞれのアプローチについて著者の経験を通して具体的なプロセスと共に解説されています。

著者は川口荘史氏で、東京大学卒業後に外資系投資銀行に入社され、M&A案件に従事、その後は複数のベンチャー企業創業に参画し、2017年には株式会社ミーミルを企業しました。現在、同社はユーザベースグループの子会社となり、各企業の意識決定に必要な幅広い事業を展開しています。

主体的に「決める」心がまえを持つ

主体的な意思決定は自身が下した判断だからこそ、当事者意識を持つことができ、そのあとの実行フェーズでも行動ベースで結果に良い影響をもたらします。

その状態になるためには、議論・検討・提案を他人任せにせず「自分で決める」ことを明確に意識することが重要です。「自分が決める」と思って情報を捉えると、直面している事案の見え方が大きく変わります。

留意点として、主体的な意思決定の際には「ロジック」だけでなく、「意思」や「感情」に自覚的でなくてはなりません。自分の「意思」や「感情」も含めて説明できること、そして思い込みといったバイアスによって客観性を失いすぎていないかを慎重に振り返ってみてください。

特に、感情が執着や保身といった負の感情で構成されているときは注意が必要です。

「問い」と「仮説」を見立てる

まず、「問い」がのちの結果を左右させることは言うまでもありません。

そして、重要なのは設定した「問い」がすべて繋がっているかということです。

というのも、私たちのすべての行動は、最初の問いを起点としています。本質的な「大きな問い」から「小さな問い」へとつながり、最終的に目の前の行動に結びつきます。

たとえば、「自身の人生の意義はなにか?」→「家族を幸せにできているか?」→「経済的に自由か?」→「市場価値を高めるにはどうしたらよいか?」→「昇進するにはどうしたらよいか?」→「予算達成するにはどうしたらよいか?」など、良い問いは、自分の目の前の行動に対する問いに帰着するようになってます。

ここに「仮説」があるとさらに効果的です。上記の例を再度取り上げるとすると「人生の意義」への自分なりの「仮説」を設定し、その「仮説」に対して現在の立ち位置が合致しているかの検証が可能になります。このように「仮説」を設定することで「人生の意義」を満たすための情報整理が可能になります。

分かる(情報をベースとした意思決定)

ここまでは、自身の「意思」や「感性」に基づいた意思決定の構成要素を紹介しましたが、やはり「情報入手」も意思決定の重要な要素です。

本書では、以下の情報入手方法を紹介しております。

■デスクリサーチ

インターネットなどを用いた情報収集(AIの活用も含む)

■コンサルティングファーム

上記をはじめとする技術の進展により、コンサルティングファームの価値はどこにあるのか?と問われるところですが、第三者の見解には価値があるというのが本書の主張です。

情報整理したり、分析したり、そうした機能としての役割もさながら、業界知識や事業戦略の見識の深さやバリュエーションをはじめ、経験や事例の蓄積よって得られる情報の独自の解釈は、意思決定の際の支援としては力強いツールです。

■意見(所見)情報

コンサルティングファームとニュアンスが似ていますが、事実情報とは少し性質が異なります。

具体的には意見(所見)情報には、「情報の強弱」がある形で受け取れることがメリットです。経営的な話をすると、全ての情報をミクロな視点ですべてを解釈するのは中々難しいはずです。そんなときに一度かみ砕かれ、整理された強弱のある情報を人から入手することは非常に効果的です。

余談ですが、人間に赤ちゃんは視力が弱く、周囲がぼんやりしか見えていないようです。視覚の発達途中なので仕方がないのかもしれませんが、生まれているのに見えていないのは不十分な発達とも受け取れます。しかし、これには理由があって、生まれてすぐに高い解像度で周囲が見えてしまうと、脳への負担が大きく、小さい体の中で処理が追い付かないといわれています。そもそも赤ちゃんにとって、そこまで解像度の高い視力(情報)は不要でもあります。

我々も同じで、情報の解像度(粒度)が高すぎても受け取り側が解釈しきれないことも大いにあります。初期的な情報入手をする際には、まずは全体像をぼんやり掴んで、その中で仮説を見立て、重要な要素を使いに行く段取りが望ましいのかと思います。

まとめ

『ビジネスリーダーのための意思決定の教科書』は、経営者や管理職、新規事業担当者など、日々正解のない課題に向き合い、判断を下す必要がある人々に特に推奨される内容です。また、意思決定力やリーダーシップ力を高めたい方や、自分自身のキャリアや人生を積極的に切り拓きたいと考える人にとっても、大いに役立つ一冊となっています。
新規事業家である守屋実氏による推薦コメントでは「人生や経営とは、日々の意思決定の積み重ねである。優れた意思決定を通じて、より良い人生や経営を実現できる。そのために必要な『本質』が詰まった一冊」と述べられており、本書の価値を表現されています。
本書は、意思決定スキルを高めるための重要な学びを提供し、ビジネスにおいて成功するための具体的な知識や技術を習得する助けになります。効果的な意思決定を実践できるようになることで、ビジネス環境での成果や目標達成に貢献する内容となっています。ぜひ活用してみてください。

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