「今、見ている世界を変える」—『解像度を上げる』(著:馬田 隆明 氏)で人生が鮮やかに

未分類

今回のブログでは、私たちが日々の意思決定や問題解決において、より高度な判断を下すための方法を提唱している「解像度を上げる」をご紹介させていただきます。

本書では解像度を上げるために必要な4つの視点(深さ・広さ・構造・時間)を挙げ、それぞれの視点を通じてどのように物事を捉え、活用するかの思考・行動法を説明しています。そしてこれらの視点を身に着けることが、どれほど私たちの人生における選択を豊かにしていくかについても言及されておりますので、特にビジネスや個人の成長を求めている読者の皆様にとって役立つ情報を多くご提供できるかと思います。

そもそも「解像度」とは

まず最初に「解像度」という言葉の定義づけから本書は始まります。解像度という言葉は、一般的に画像や映像の鮮明さを表す際に使われますが、本書では「物事への理解度や、表現時の精細さ、思考の明晰さ」としています。

物事を深く理解することができれば、私たちは直感に頼った判断を減らし、根拠に基づいた意思決定ができるようになります。著者は、この解像度を上げるために重要な4つの視点を紹介しています。それが「深さ」「広さ」「構造」「時間」です。これらの視点を意識的に取り入れることで、私たちは状況をより多角的に捉え、複雑な問題に対しても適切な解決策を導き出すことができるようになります。

「深さ」の視点で解像度を上げる

「深さ」とは、物事の表面的な側面にとどまらず、その背後にある原因や背景にまで意識を向けて理解を深めることです。表面の事実だけを把握していても、問題の本質に迫ることはできません。たとえばビジネスで売上が減少したとき、その原因を「製品が魅力的でなかった」「競合が強かった」といった表面的な要因で済ませてしまっては、根本的な解決策を見つけることはできません。では、どのようにして良質な情報を入手し、洞察に「深さ」を見出すのか、見ていきましょう。

1.インプットとアウトプットを繰り返す

情報を仕入れるだけでなく、思考し、きちんと行動することも大事なプロセスです。例えば、「家の周りの地図」を描いてみて下さい。日々、通っている場所でも意外と上手く描けない方が多いのではないでしょうか。描いたのちに改めて、家の周りを歩いてみると、これまで気づけなかった光景・景色に気づけます。アウトプット(描く)を試みることによって、インプット(見る)の質が変わるのです。

2.言葉や概念、知識を増やす

皆さんも適切な言葉や概念を自分の辞書内に持っていないがゆえに、観察した事象を上手く表現できなかったことはないでしょうか。私たちは概念や理論を多く持つことで、世界をより精微に見たり、切り取ったりすることができます。上記のアウトプットはできているが、直面している物事の解像度が上がらない時には、自分の辞書内の概念や知識が足りないことを疑い、インプットフェーズの量・質を見直してみてください。

「広さ」の視点で解像度を上げる

「広さ」とは、物事を単一の視点ではなく、複数の観点から捉えることです。私たちはどうしても自分の経験や知識に基づいた視点で物事を見がちですが、それでは偏った理解しか得られません。解像度を上げるためには、できるだけ多くの視点を取り入れて、多角的に物事を捉えることが求められます。

例えば、ビジネスの戦略を立てるとき、マーケティング担当者は顧客のニーズやトレンドを重視しますが、製品開発担当者は技術的な実現可能性を優先します。これに対し、広さを持っていれば、マーケティングや技術の視点に加えて、業界全体の動向、競合他社の戦略、さらには社会的な背景を考慮に入れることができます。視野を広げることで、より多様な情報を収集し、柔軟で適応力のある意思決定が可能となります。

・レンズを使い分ける

政治学の分野では物事を見るときの考え方のことを「レンズ」と表現することがあります。そして、私たちもこの「レンズ」を通してこの世界を見ています。本書ではそのレンズの種類を多く持っていれば、直面している事象に応じてレンズを入れ替え、光景を変えて見ることで解像度を上げることができると説明しています。理論や業界、立ち位置といった様々なレンズを入れ替えることで1つの事実から様々な可能性を見出すことができるかもしれません。

「構造」の視点で解像度を上げる

「構造」とは、情報や状況を整理し、論理的に理解することです。世の中には膨大な情報が存在し、それをすべて把握しきれない場合も多いですが、その中から必要な情報を抽出し、意味のある形で整理する能力が求められます。複雑な問題や状況を理解するためには、情報の関係性や流れを明確にする必要があります。

例えば、ビジネスのプロジェクトでは、複数のタスクやリソースが絡み合っています。その中で重要なのは、各タスクがどのように関連し、どの順番で進めるべきかを明確にすることです。これにより、どの部分にリソースを集中すべきか、優先順位をどのように設定するかが明確になり、効率的にプロジェクトを進めることができます。

・分ける×比べる×関係づける

情報を構造的に整理するためには、まず情報を分類し、階層化することが大切です。たとえば、売上実績(弱点)を分析する際には、顧客軸などで「カテゴリに分け」、どのカテゴリーが論点(例:男性と女性どちらが売れていないか)となるかを同じ抽象度をもって「比較」していくことで、全体の構造が見えてきます。また、各カテゴリでの要素が複雑に絡み合っている事業構造の場合も多いので、そんなときには「因果関係を明確化」するために、フロー図やマインドマップを活用するのも効果的です。

「時間」の視点で解像度を上げる

「時間」とは、物事の時間的な経過や変化を意識して考えることです。私たちは、短期的な結果に目を奪われがちですが、長期的な視点を持つことが、解像度を上げるためには欠かせません。時間を意識することで、現在の状況がどのように未来に影響を与えるのかを予測し、適切な対応を取ることができます。

・直面している物事や事象のプロセスやステップを見る

物事をステップごとに分割し、プロセスを見ることで解像度を上げることができます。わかりやすいのがバリューチェーンの可視化です。企業が価値を生む活動の流れをプロセスとして可視化することで、どの部分を改善するべきかが大きな枠組みで見えてきます。一般論ですが、バリューチェーンの中でモノの流れが鈍化している箇所(ボトルネック)に着目し、強化することで全体の流量改善に繋がります。この、バリューチェーンやボトルネックといった概念を、様々なモノや価値に適用すると、直面している物事の流れを詳細に把握できるようになります。(そもそもバリューチェーンやボトルネックという”概念”を知らないと、この説明も伝わらないのでやっぱり、言葉や概念、知識を増やす=深めることは重要ですね・・・)

最後に

ここまで本書で紹介されている「解像度を上げる」ための思考法をメインとしてご紹介させて頂きましたが、皆さんもご存じの通りその思考法をベースに最終的には行動に移すことが不可欠です。思考法を学ぶことは、皆さんの目的を達成するための第一歩に過ぎません。考え方を改善し、より高い解像度で物事を捉えることができたとしても、それを実際に行動に移さなければ、その効果は発揮されません。

ぜひ、皆さんが理想とする未来にあるべきものを手を動かして少しだけ作ってみると、未来の形や、今の在り方が少しずつ見えてきて新しい可能性につながるはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました